生産量日本一、北見たまねぎを支えるプロ集団、グリーンズ北見

北海道北見たまねぎがたっぷりのオニオンスープを作っていただいた、グリーンズ北見さまに伺い同社の営業開発部(佐伯様、丸山様)に製造秘話、北見たまねぎへの熱い想いを伺いました。

商品化への想い

——この度はオリジナル商品の開発のお取り組みをいただき、ありがとうございました。
他社とのオリジナル商品はあまり作られないと伺いました。今回はなぜお取り組みいただけたのでしょうか?

佐伯)
スープ事業において包材PBの商品は様々な会社と行っておりますが、たしかに顆粒原料段階からの商品開発はあまりないかもしれません。
サツドラさんから打診を受けた際、時間を掛けてでも本格的な良い商品を作りたいと言ってもらえた事と「北見たまねぎ」を謳ったオニオンスープを作りたい、という打診だった事に心を動かされました。

北見たまねぎを表現する際、「北海道産」という肩書きは数多くありますが、「北見」という肩書きは多くありません。
私たちは北見たまねぎの魅力を全国にPRすることが使命だと考え、日々業務を行っていますので、昨今では「北海道産」という肩書きには満足できないのです。笑

皆さんが食べる国産たまねぎの4個に1個は北見たまねぎにも関わらず、世の中ではやはり北海道のネームバリューが強く、「北見たまねぎ」という肩書きを謳ってくれないところが沢山ある。もっともっと北見たまねぎの存在を知ってもらいたいと考えています。
やるからには全力で取り組みたい、という想いで開発をスタートしました。

 

――北海道くらし百貨店のコンセプトも、北海道の良さを全国に伝えていく事ですので、すごく共感します。一緒にお取り組みが出来て嬉しいです。
PB開発秘話について、苦労した点、こだわった点などお聞かせください。


▲グリーンズ北見 佐伯さま

佐伯)オニオンスープ作りは元々得意としていますので、どうやって更にグレードアップするか、という点に試行錯誤しました。
開発当初からオニグラ(オニオングラタンスープ)のテイストを入れてはどうか?と考え、ロースト系のオニオンやチーズを使った原材料など様々な案を考えながらスタートしました。

「サツドラさんから玉ねぎらしさを前面に出したい」と要望を受けていましたが、味に深みを出すために玉ねぎのソテー度合いを上げすぎると甘すぎてしまい、玉ねぎの良さが消されてしまうことから試行錯誤の結果、通常製品ですでに4割も配合している「オニオンエキスパウダー」をさらにアップして、5割用いる事で美味しいスープに仕上がったと思っています。
後は隠し味のチーズ。北海道のチェダーチーズを使って、マイルドな味ながらも玉ねぎの味を前面に出すことが出来ました。

最後に、北海道くらし百貨店では海外への展開も視野に入れていると伺っていました。弊社の既存商品には牛肉エキスが含まれているため、日本のBSE問題などで輸出が出来ない国があります。
味のベースとしての牛肉エキスは効果的でなかなか代用は難しく頭を悩ませたところですが、チキンをベースに他の原材料とのバランスを調整する事で、マイルドでまとまりのあるオニオンスープに仕上がりました。

 

――海外への販路のことも念頭に置きながら開発いただいたのですね。お話いただいたような企画作り、進行はどなたが対応されるのでしょうか?

佐伯)
グリーンズの営業開発部が窓口となって対応しています。
営業兼商品開発を行う部署となっているので、通常の営業を行いながら商品開発においてはユーザーの“生の声”を直接聞き入れ商品づくりに活かしています。

また、最近では玉ねぎの新しい魅力を発掘すべくフリーズドライの設備など、新規設備の導入も検討、実施しています。


▲皮むき工程の一部

日本のたまねぎ市場を支える、熱い想いと責任感

――次に、北見の魅力やグリーンズ北見さまについて伺わせてください。

佐伯)
まず、当社の成り立ちや今までの簡単な経緯をご説明いたします。

当社は1987年北見市や地元農協が出資する第三セクターとして創業し、規格外の玉ねぎを有効活用することで、地域農産品の付加価値向上を図るとともに、地域の雇用を創出する目的で事業がスタートしました。
規格外品といっても色や形が悪いだけでスーパーで売られているものと味に変わりはありません。ただ、規格外品を出荷すると市場での需給バランスを崩してしまい値崩れを引き起こしてしまうため、利用価値の低かった規格外品は生産者自らで廃棄していたこともあると聞いています。そこで、それらをグリーンズ北見が加工して商品化することで、微力ながら生産者にとって所得の向上にもつながる訳です。

ところが、昨今では時代と共に技術進歩、生産者の努力による生産技術の向上により規格外品は減少し、設立当時10%程度発生していた規格外品が、今では全生産量の5%未満になったと伺っています。
そして、規格外品の減少とは逆に、グリーンズ北見の加工量、販売量は増長を続け規格外品だけでは足りなくなってしまったのです。
1995年からは生産者との「玉ねぎ加工用契約栽培」、簡単に言うと畑買いでの原料調達がスタートし、現在では年間で使用する玉ねぎの約7割が契約栽培の原料を使用しています。

 

――なるほど。その頃から一貫した目的があったのですね。

丸山)

そうなのです。

加工量も増えて、次にすべき事を考えたとき、北見たまねぎが生産される地域と人々の魅力をどう発信していくかを考えるようになりました。

当社で加工された玉ねぎは、食品工場等で原料として使用されることが多く、原料メーカーとして裏方に徹して情報発信を行うような取り組みはしていませんでした。数年前までWEBサイトすらも存在しなかった位です。

突然ですが、北見たまねぎの美味しさの秘密って何だと思いますか?

 

――そう聞かれると・・・

丸山)
冷涼な気候と日照率の高さが玉ねぎ栽培に適していて日本一。というのが模範解答。
でも、僕は違うと思うんです。
生産者が長年培ってきた経験、知見を元にした畑作り。
様々な苦難を乗り越えて実施されてきた、品種改良の数々。
他には貯蔵性の高さなども挙げられます、最初の収穫は8月頭。極早生(ごくわせ)、早生(わせ)、中生(ちゅうせい)、晩生(ばんせい)と品種を変えながら4月まで全国で販売が出来るように、農協の専用倉庫で保管されています。

ただ量が取れているというわけではなく、関わる方全員の努力により美味しい玉ねぎが出来上がっているのだなと。
他地区に比べ一反あたりの収穫量も高いと聞いています。これも技術の賜物だと思います。

 

――私も北見が地元ですが、始めて知りました。。

丸山)
府県産の玉ねぎは、大きくてみずみずしく、辛みが少なく生で食べるのに適しています。しかし北見地区で生産される玉ねぎは身がしまっていて辛みが強いものが多いです。生で食べるのであれば、府県産の方が適していると思います。
ただ、みずみずしくて水分が多いということは貯蔵性や運搬面でリスクがあるため、北見地区では貯蔵性に優れ長時間の輸送にも耐えられる品種を選択し、全国の方へ一日でも長く高品質な玉ねぎをお届けすることを目指しています。

北見たまねぎは国内流通の1/4を占めている訳ですから、大きな供給責任を持っていると思っています。

生産者は良い物を作って、一つでも多く出す、というプライドをみんな持った方ばかりです。
そのような熱い想いを情報発信すべき、と考えてブランディングを進めています。北見たまねぎのロゴを作って認知度を向上させることに取り組んでいて、コロッケ事業における「たまコロ」のヒットなどでようやく軌道にのってきました。

「たまコロ」はコンセプト作りに非常に悩み、1年以上かけてようやく出来上がったのですが、その経験は自分自身にとってすごく貴重なものとなったと感じています。

生産者、飲食店、小売店など、沢山の人に話を聞いて回り、玉ねぎの魅力、北見地区の魅力を根底から考え直し、どのように伝えるべきか毎日悩み続けた結果、未来を担う子供達にとってわかりやすい事を重視したシンプルな名称に決定。
2016年に開催された「第4回全国コロッケフェスティバル」でグランプリを獲得する事が出来ました。

その後、飛躍的に認知が広まり、北見市内の小学校では給食メニューが「オニオンコロッケ」から「たまコロ」に変わりました。
これには本当に感動しましたね。

今後、供給体制をもっと整えてロゴ入り商品の出荷量を増やしていきたいと考えています。

 


▲写真右、たまコロを企画した丸山様

2013年(平成25年)の大不作で問われた会社の姿勢

丸山)
グリーンズ北見の企業としての姿勢を物語るエピソードがあります。
4年前、北海道全域で歴史に残る玉ねぎの大不作が発生した時の事です。
玉ねぎの流通は生食(スーパーなどでの販売)が優先されます。
グリーンズ北見は、北見地区で生産された玉ねぎのみを使用しているため、北海道の不作ということは即ち、大産地である北見地区の不作であり、生食用が足りていない状況で、加工用の玉ねぎが入荷されないという事態が発生したのです。

原料確保の目途が立たない中、ユーザーからは他産地の原料を使用してでも製造して欲しいという声もありました。

そこで、供給責任を全うすべく加工用原料の不足を補うため、生食用として市場に出荷された玉ねぎを買い戻し、生産するという決断を下しました。
原料コストの増加に加え、普段使わないような小さな玉ねぎ(Sサイズ)も使用した事で、生産コストも増大するなど、様々なデメリットがありましたが、それらを度外視して企業理念を貫いたのです。

 

――そのような判断が出来る会社というのは素晴らしいですね。

丸山)
僕もここまでやるのか、と驚いた反面、会社の姿勢に強い使命を持ちました。
そのような事もあり、安定供給の重要性を認識した事で、より一層生産者と連携する事の大事さを再認識しました。

グリーンズ北見30周年  今後に向けて

丸山)
当社は昨年30周年を迎えまして、30年の歴史を振り返るとともに、次の30年への想いを綴るコンセプトブック「玉手帖」を作成しました。(上記写真)
社員全員参加で北見たまねぎとグリーンズ北見の今と未来を熱くまとめた一冊です。

作る過程で全部署の社員と連携したことで、改めて仕事に対する想いなど様々なものの上に成り立っているのだ、という事を再認識し心強さを感じました。
社員全員で次の未来に向けて、北見たまねぎを通して北見地区の魅力を沢山発信していきたいです。

 

代表商品である北見オニオンスープ

 

収穫前のたまねぎ畑

コンテナに満載のたまねぎ

みじんぎりにした大量の玉ねぎ

大きな釜でたまねぎをソテーする様子

自動皮むき機

 

データ参照元:政府統計の総合窓口(e-Stat)2016年実績