地域の産品を活かす事にこだわった地ビール作り 網走ビール

青いビール「流氷DRAFT」で有名な網走ビール株式会社。
当店オリジナル商品「網走市オホーツクの流氷が入ったすっきりクラフト」もご提供いただいております。

「地場産品を活かすことで地域をPRする」という素晴らしい理念を掲げ、様々な地ビールに挑戦している同社。
常務の川﨑様、工場長の條様に商品開発に対する想い、製造秘話などを伺いました!

画像)網走駅すぐ近く、網走川の川沿いに社屋と直営の飲食店「YAKINIKU館」が並ぶ
YAKINIKU網走ビール館

網走ビールの歴史

――本日は宜しくお願いいたします!
先ずは御社について伺いたいのですが、設立の経緯など教えていただけますか?

 

川﨑)まず、現在の網走ビール株式会社は、タカハシグループに属していますが、元々は別の会社で運営されていて、平成10年に設立されました。
大学と地域が一体となって生み出されたのですが、当時、網走に東京農業大学生物産業学部が開設されることとなり、その際に地ビール開発研究について協議を行い小麦ビールの研究を東京農大へ委託したことが始まりの一歩です。

その後平成6年に大蔵省がビールの製造基準を引き下げた事により、東京農大が日本初のビール試験製造免許を取得しました。

それをきっかけに、網走市はもちろん、街の酒屋さんなど沢山の方々が網走を盛り上げようと出資して平成10年網走ビール(株)を設立、平成11年網走ビール館を開業しました。

 

――そうでしたか。基準の引き下げがあったのですね。

 

川﨑)はい。製造基準の引き下げによって地ビールブームが始まり全国各地で地ビール会社がどんどん出来ました。
釧路、遠軽、女満別、十勝等々、道内にもビール会社が沢山ありましたが、当時はどの会社も売れずに苦しんでいたと聞いています。
ブームが去り、各会社も次々閉鎖されて今となっては北海道で営業を続けているのは20社程度になっています。
実はその中の一つで、網走ビールも一度閉鎖が考えられていました。
ちょうどそのタイミングで現在経営権を持っているタカハシグループが事業を譲り受けたという流れです。

流氷DRAFT大ヒットの裏側

――たしかに、一時期は色々な地ビールがあったように思います。当時の状況をもっと教えてください!

 

川﨑)当時販売していたのは、ヴァイツェン・アルトなどの独自性がないビールばかりでした。網走の地ビールといっても特徴が伝わり難かった。
このままではいけないと、試行錯誤の末、「地域の産品を生かしたものこそ、本当の地ビール」という考えに辿り着き、社内で「面白い商品が何か無いか?」という案を募りました。
すると、「実は、こういうビールが作りたいです」と工場長から出たアイデアが「流氷DRAFT」です。
網走といえば、オホーツク海の流氷。この素晴らしい地域資源を沢山の方に知ってもらいたいという想いで生まれました。
青いビールは海の青色、白い泡はオホーツク海に浮かぶ流氷に見立ててるんですよ。

 

――なるほど!確かに!しかも流氷ドラフトは10万本の大ヒットを記録しましたよね。
もう少し掘り下げて伺いたいのですが、何か特別な販売促進など行っていたのでしょうか?どのような経緯で大ヒットへなっていったのかが気になっていまして。

 

川﨑)最初はやはり、メディアの取材の力が大きかったかと。新聞やニュースに沢山取り上げていただいたのが大きかったですね。

 

――青いビールというのは衝撃的ですよね。

 

川﨑)そうですね、今でこそ他にも作ってるところがありますが当時は珍しかったのと、流氷を使ってるという点も各メディアが取り上げやすかったのだと思います。

 

――他社が青いビールを作っても、流氷のようなストーリーが付けづらいですよね。

 

川﨑)そうですね。網走には流氷シーズンになるとかなりの観光客がいらっしゃるので、そういった方々にお土産でご購入いただき、口コミなどでもかなり広まったように感じています。

 

――インパクトが強いですものね。

 

流氷DRAFT製造秘話、青色の秘密に迫る

網走ビール川﨑常務

――青色というのは、どのように出しているのでしょう?

 

川﨑)試行錯誤があって今の色になっているのですが、一番最初はスピルリナ色素という、ちょっと聞きなれない名前なんですが、海藻で“藻”の一種を使っていました。
ガリガリ君などもスピルリナ色素なんですよ。食品に使われることも多い色素なのですが、透明感のある綺麗なブルーになります。ただ、この色素は熱に弱いのです。

出荷のために加熱処理をすると、冷蔵で保管しても徐々に色が抜けてしまうという事がわかりました。
青から緑に変わってしまうんですね。本来の藻の色に戻るというか。
これから販路を全国展開していこうとか色々考えたときに、代わりになる色素がないかというところで、クチナシ色素にたどり着きました。

ただ、やはりスピルリナと比べると色味が変わってしまうので、麦芽の使用比率を細かく調整するなど、なるべく透明感がある色を作るというところが試行錯誤したところですね。

 

――やはりヒット商品の裏にはご苦労があるのですね。味に対してはいかがでしょう?

 

川﨑)使ってるホップは変えたりしてますけど、基本的にはそんなに大きく原料は変わってないので、配合比率とかホップの付け方とか、使う種類などそういうのを変えていきました。

 

――スッキリした味というのは、流氷をイメージしながらそれをビールの味にしたという感じですか?

 

川﨑)そうです。苦味が強すぎるとか味が濃いとイメージと違うかなと。
本当にキンキンに冷やすとスッキリとしていて、見た目とマッチしていると思います。
ビールが苦手な方にお勧めです。
逆に、色々なビールを飲んでいるビール好きの方には軽すぎるのでちょっと物足りない感じかと思います。

 

――インターネットでも女性が書かれてる記事が沢山ありますね。スッキリ飲みやすいとか。

 

川﨑)そうですね、展示会でも並べると女性の方、悲鳴をあげてきますものね(笑)指を指しながら「なにこれ!」と。

 

――たしかに、私たちの空港のお店でも購入してその場で飲む方、女性はワイワイ話してますが、男性は黙ってますよね(笑)

画像)工場に在庫されている網走産の大麦

網走ビール網走産の大麦

地ビールへの想い、挑戦の日々

――今後の展望をお聞かせいただけますか?

 

川﨑)まだまだ購入できるお店も少ないですし、北海道を代表するビールとなりたいという想いがありますね。
結局、「地ビール」と言われているものでも、地元の原料を一切使っていないところも沢山あります。
地元の原料を使って、地元をPRするというのがコンセプトをぶらさないようにこれからも商品開発を続けていきたいと思います。

 

――とても素敵なことですね。100%地元の原料となると、なかなか商品数を増やすのも難しそうですね。

 

川﨑)選択肢は限られてしまいますね。価格も高くなってしまうのも難しいところです。

 

――現在WEBサイトに掲載している品目の他にはどのような商品がありますか?
過去にはホタテや牛乳といった原料もあったという話を聞いたのですが?味の想像がつかず気になっていました(笑)

 

川﨑)タカハシグループになる前から販売していた商品で、実は私も飲んだこと無いです(笑)
あとは昆布、じゃがいも、人参など、様々な副原料を使った発泡酒も作ってました。

 

――全部気になります!その辺りは現状製造していないのでしょうか?

 

川﨑)今は製造していません。流氷DRAFTをはじめとして、各商品の出荷量が伸びてきているので、なかなかアイテム数を増やせないのです。タンクが限られているので、パンパンになってしまうんですよね。

通年販売の種類を増やすためには、もう少し工場の規模も大きくしないといけないため、北海道物産展に出展した際には物産展限定のビールなど、数量限定や期間限定という形で最大限チャレンジするようにしています。

 

――なるほど。各商品の企画はどのように決まるのでしょうか?

 

川﨑)私もそうですが営業に行く社員は色々なビールを買ってきてみんなで飲み比べするなど、日々情報を集めてアイデアにしています。
チェリービアも社員発案ですし、昨年はベルジャン酵母を使用したIPWという商品を期間限定で販売していました。今年は名古屋の高島屋限定、数量も限定で白ビールも作りましたね。

 

――商品開発は楽しそうですね!

 

川﨑)やっぱり作るのが一番楽しいですね。

 

様々なビールの作り方

網走ビール流氷ドラフト
――白ビールはどのようなビールなのでしょうか?

 

川﨑)白ビールは生小麦をベースにしたビールでして、ろ過をしないので濁っています。流氷ドラフトとか、その他ビールのように透明感が無いです。
White Aleも同じく濁っていまして、オレンジピールやコリアンダーシードで香り付けをした商品となりますが、白ビールは特に香り付けも行わっておらず、網走産の大麦麦芽と生小麦を使った商品となります。

 

――日本酒でも搾り立てというのがありますが、同じような考え方ですかね?

 

川﨑)そうですね。最終工程の加熱処理が無いので賞味期限も短いです。
当社の商品は常温可で6ヶ月が大半ですが、加熱処理していないものは冷蔵商品となるため、賞味期限が半分程の期間になってしまいます。

 

――味わいとしては、麦芽の味が強いなど、どのような特徴がありますか?

 

川﨑)酵母が生きてるので、まろやかさといいますかや香りが違いますね。熱処理をしていないことでより引き立っています。

 

――話は飛びますが、非加熱の生ビールはYAKINIKU館で提供しているのでしょうか?

 

川﨑)もちろんです。加熱処理していない生ビールを提供しています。

 

――白ビールやIPWなどの新商品はどの位時間をかけて商品開発するのでしょうか?

 

川﨑)大体半年くらいはかかりますね。例えばWhite Aleは20数回の施策を繰り返して出来上がりました。
White Aleは使う原料、副原料が多いので時間がかかってしまいましたね。通常のビールはホップ2種類だけですが、White Ale は繊細なバランスで出来上がった商品です。

あとは、生で飲むと美味しいのですが、加熱処理をすると味が変わってしまったりとか。
販売は缶が主流なので、缶での味を美味しくするのが難しいですね。

 

製造工程について

――勉強になります。そうですよね。今までにお聞きしたホタテ・牛乳、じゃがいも、人参などの副原料はどのようにビールに調合するのでしょうか?

 

川﨑)ものにより異なりますが、最終工程で入れる場合もあれば、発酵時に入れる場合もあります。

 

画像)YAKINUKU館から見える製造工場に3つの釜が並ぶ
網走ビール製造工程

画像)工場長の説明、1000Lタンク
網走ビール製造工程工場長

画像)作りたての流氷DRAFTを飲ませてもらいました。
作りたて流氷ドラフト

 

画像)充填されていく流氷DRAFT
充填される流氷ドラフト

流氷ドラフト

流氷ドラフト出荷前

 

 

最近の流通事情

――過去に地ビールブームがあったとお聞きしましたが、最近も色々と状況が変わってきているとか?

 

川﨑)当社は輸出もやっているんですが、海外を相手に商談をしていると昆布やホタテを使ったビールをの需要が高いことに驚いています。

 

――それは意外ですね!

 

川﨑)日本の「和」の原料を使ったビールを欲しがっている国が多いように思いますね。
長野のビール会社、ヤッホーブルーイングさんでも鰹節を使ったビールを作っていますし。

White Ale等を提案すると、どうせだったら北海道らしい原料を使ったビールとか、日本を連想させるもの希望されます。実際に山椒を使った京都のビールが売れているようです。

あとはお米。越後ビールさんではコシヒカリを使ったビールを販売しているそうです。
当社でも10年以上前に米ビールを販売していたのですが、時代が早すぎましたね(笑)

今は台湾のコンビニなどに出荷しています。

 

――年々、輸出量は上がってますか?

 

川崎)上がってきてますね。出荷量はやはり夏がピークなのですが、年末から1月あたりはまだ全然余裕があります。

 

――話が飛んでしまいますが、何かコラボレーションしたいですね。

 

川﨑)そういった動きは大歓迎です。当社の強みでもありますので、どんどんやらせていただきたいと思います。

 

――先ほどの、期間限定発売でワンショットだけ作ってしまって、売り切りというのもすごく良いですね。

 

川﨑)そうですね、大体100キロ(ℓ)で作るので、最低3000本程から可能ですし。

 

――是非やりましょう。北海道くらし百貨店は関東にも出店予定ですので、まずは来年の夏に売り切りでいかがでしょう?!

 

川﨑)試作品は少量からでも作れるので、何回か試飲をして意見を聞きながら作っていきますので。

 

――女性をターゲットにお料理に合うビールが苦手な人でも飲めるようなビールを作りたいなというのはすごく思っています。
お食事の時に、ソーダ、ペリエとか炭酸水を飲まれている方が、そうではなくビールを楽しもう、というようなことでやっていけるといいですよね。
オリジナルを作る際ですが、果糖類的なども含めて作るということになりますか?

 

川﨑)麦芽とホップだけの商品も可能です。副原料を使ってしまうと、発泡酒の扱いになる可能性が高いので、発泡酒と聞くだけでも買わない方もいらっしゃいますし。
なので、あくまでビールだけでいきたいのであれば、麦芽とホップだけでいったほうが良いと想い舞う。
果実とか入れてもおもしろいかもしれませんね。

 

――穀物ではないものを入れてもビールとして成り立つのでしょうか??

 

川﨑)規制条件が変わって、今はそうなりましたね。

 

最後に

――全然関係ない質問いいですか。クラフトビールのお店へ行くと、生で飲みたいから見ると、飲めないじゃないですか。
少なくとも私が行ってるお店で飲めたことがないので。
樽生の状態で出荷するというのは考えてないですか?

 

川﨑)網走市内はもちろん、東京都内でも一部提供しています。
ただ、そういうお店はクラフトビアマーケットといって色んなクラフトビールがあり日替わり提供でして、、
今週は北海道から網走ビール、来週は他の○○という感じで樽2本程で終わりなんです。いつもここで飲める!というのは、少ししかないですね。

 

――連れて行って自慢したいです。待ち合わせの場所に使って勧めたりしやすいですし。

 

川﨑)そうですね、今後の展望に入れておきますね!

網走ビール株式会社

 

ということで、長々としたインタビューにもしっかりとお答えいただき、網走ビールさんの事がすごく理解出来た取材でした。

最後にリクエストで終わるという、厚かましい我々にお時間をいただき誠にありがとうございました!!