セレクター紹介 - 伊藤 亜由美

セレクター紹介

CREATIVE OFFICE CUE 代表取締役/プロデューサー

伊藤 亜由美 AYUMI ITO

1992年 「CREATIVE OFFICE CUE」を設立
大泉洋やTEAM NACSが所属、個性派俳優を抱え、全国へと活動の場を広げる。食、観光、地域産品等北海道の様々な魅力を全国に伝えたいという思いから、映画『しあわせのパン』(2012年)『ぶどうのなみだ』(2014年)を企画。社名の「CUE」(キュー)には、「北海道のエンターテインメント界にキューを出す」という意味を込められている。
「北海道のつくり手さんたちを紹介すること」を役目と考え、北海道各地、日本全国の伝統ある職人技とプロダクツを精力的に発信している。

憧れの東京が教えてくれた北海道の魅力

北海道でしかできないテレビ番組や映画等の企画・製作、北海道産小麦100%ベーカリーショップ「ブーランジェリー コロン」の運営などを手がけています。
だから、北海道が大好きで、北海道に詳しいと思われるかもしれません。でも、それはわりと最近のこと。2004年にTEAM NACSを東京でマネジメントすることになってからです。
それまでは、「北海道には何もない、東京は何でもあってうらやましい」と思っていました。
いざ憧れの東京で仕事をしてみると、「北海道っていいですよね」と声をかけられることがとても多くて…。
景色が素晴らしいし、おいしいものがたくさんあるし、人もあたたかくてすてきだと絶賛されたのです。
「北海道に行ったら何を食べたらいい? お薦めのお土産は?」と尋ねられることも多いのですよね。
実際のところ、身近なものほど全く良さに気づいていないということがわかりました。

北海道のことを聞かれるようになってから、とにかく、相手を喜ばせたいという思いから、改めて勉強をはじめました。
現場へのお土産や差し入れを北海道のものにすると、みなさんがとても喜んでくださいます。
それがうれしくて、いつのまにか北海道に詳しくなっていきました。北海道の良さを教えてくれたのは、東京の人たちのような感覚もありました。ずっと北海道にいたら、気づくことはなかったかもしれません。北海道を俯瞰から見る経験が私にとっては大きな転機になりました。

伊藤 亜由美様インタビュー

おすすめの商品を手に持ち取材にお応えいただいた伊藤様。
北海道の魅力を知ったことが映画製作にも繋がったと話す

好きなものでつくった「しあわせのパン」

北海道の情報をいろいろ調べ始めたころ、コンビニの店頭で「スロウ」という雑誌を見つけました。「もっともっと北海道を楽しむコンセプト型通販付きマガジン」を謳う、帯広市の印刷会社が発行している季刊誌です。
その素晴らしい写真と取材力に魅了されました。それで、紹介されていた商品を買ってみたり、そのつくり手さんに片っ端から会いに行ったりしましたね。「スロウ」編集部も訪問しましたよ。
その出会いから、「贈りものは北海道のもの」という自分の中の決まりができました。その習慣が積み重なって、「スロウ」みたいな映像コンテンツをつくりたいという思いが芽生え、それが募って企画したのが2012年に公開された映画「しあわせのパン」です。

だから、「しあわせのパン」を制作するうえでの絶対条件は、北海道のつくり手さんやメーカーの商品を使うこと。
景色だけではなく、北海道で生み出されるプロダクツを登場させると決めていました。料理のシーンに出てくる野菜も、誰が生産したのかわかるものを使っています。生産者の名前も映画の中に入れたかったからです。

「しあわせのパン」の公開に合わせて、コンセプトブランドショップ「nord(ノルド)」を札幌・東京・福岡PARCO内にオープンしました。
映画に登場するプロダクツを集めた期間限定ショップです。コンセプトは「新しいライフスタイルを北海道から提案する」。つくり手のみなさんには、この思いを説明して、映画にご協力いただきました。
「nord」は期間限定ではなく、ずっと続けたかった。でも、常設にするのはなかなか難しくて…。
だから、「北海道くらし百貨店」のコンセプトを聞いたとき、すごくうれしかったです。私がやりたかったことを常設でやるお店ができるのですから。これを扱ってくれたら、自分が買いたいし、東京の人たちに教えたいし…と、わくわくしています。

伊藤 亜由美様インタビュー
      ▲伊藤様のおすすめ商品の数々。いずれも想いのあるものばかり。

北海道のつくり手を伝えるという役目

私の役目は「北海道のつくり手さんたちを紹介すること」だと考えています。
映画やテレビ番組などをとおして、「北海道にはすばらしいものがいっぱいありますよ」と伝えたい。

「北海道にはいいものを生み出す可能性があるから、北海道でものづくりをしませんか」というところまで発信して、移住を促進できればいいなとも思っています。いずれにしても、その土地の魅力をどう引き出していくか。そこがポイントですよね。

土地の魅力は、人の魅力かもしれませんね。その土地の良いところを知って生かして、北海道の食や文化をつくろうと頑張っている人たちがいます。
ものをつくるのは、人。だから、共感できるものづくりをしている人たちの「もの」と「思い」の両方を紹介したいと思うのです。

日本のあちこちで開催されている北海道物産展。頑張っているつくり手さんたちのプロモーションの場となっていますが、本州の物産展で出合った「松前漬け手づくりセット」。これが秀逸です。
松前漬けって冷蔵品なので、お土産としてはハードルが高い場面もあるのですが、この商品は材料のみで水を加えるだけで松前漬けが出来ます。しかも、常温で持ち歩ける。「つくる」「つくりたてを味わう」というライブ感もいいですよね。完成品だと原材料がよくわからないけれど、これは材料が一つひとつわかります。
子どもたちに郷土料理を知ってもらうきっかけにもなりますよね。
これはスルメイカ、これはがごめ昆布…と説明しながら食べさせることができるし、松前の歴史を知ることもできる。

お土産に良し、食育に良し。自分でつくる楽しみが味わえるし、郷土を知るツールにもなる。
樽をイメージしたパッケージデザインもすてきなので、贈り物にもいい。道産の日本酒と組み合わせたら喜ばれると思いますね。
こういう贈る人も贈られる人も幸せになる素晴らしい商品は、まだまだたくさんあるはずなので、掘り起こしていきたいです。

伊藤 亜由美様インタビュー